2018年9月2日日曜日

【全体】スポーツ界における問題事案に対するスポーツ庁長官からのメッセージです!

今般、スポーツ界を揺るがす問題事案について、日本山岳・スポーツクライミング協会八木原会長より、再度鈴木大地スポーツ庁長官のメッセージが送られてきました。

このメッセージを各団体、関係各位に周知徹底頂きますよう、お願い致します。

【我が国のスポーツ・インテグリティの確保のために】

-スポーツ庁長官メッセージ-

近時、様々な競技において、ドーピング、パワーハラスメント、暴力行為など
の問題事案が相次いで発生している状況は極めてゆゆしき事態です。特に、故
意に他のアスリートの生命・身体の安全を脅かすような行為は断じて許される
ものではありません。こうした問題の背景・要因については、勝利至上主義、行
き過ぎた上意下達や集団主義、科学的合理性の軽視といった、日本のスポーツ
界の悪しき体質・旧弊があるという厳しい指摘がなされています。

スポーツは、個人の心身の健全な発達、健康・体力の保持等を目的とする活動
であり、国際的な競技力の競争を通じて国民に誇り、夢と感動を与え、さらに
は、地域・経済の活性化、共生社会や健康長寿社会の実現、国際理解の促進など
幅広く社会に貢献する営みです。また、学校体育は、心身の陶冶、人格形成に資
する教育的な意義をもつものです。スポーツがこれらの意義・役割を果たして
いく上では、スポーツに対する国民の皆様の積極的な理解と力強い支持が不可
欠です。様々な問題事案は、スポーツの価値を損ね、その振興を図る前提を崩す
ものです。

日本で開催される2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリン
ピック・パラリンピックは間近に迫っています。今こそ改めて、スポーツ界全体
を挙げ、旧弊を取り除き、スポーツ・インテグリティ(誠実性・健全性・高潔性)
を高めていかなければなりません。

こうした危機感に立ちつつ、スポーツに携わる関係各方面、とりわけ各競技団
体や大学等の関係者に対し、次の点についての真摯な取組を強くお願いします。

1 .アスリートや指導者に対する教育・研修の強化
あらゆる機会・場を通じて、アスリートや指導者に対し、暴力等の根
絶をはじめ、守るべきルールや倫理に関する理解を深めさせ、フェアプ
レイによってスポーツの価値を高める責務を認識させること。その際、
指導者については、「グッドコーチ」たる資質能力の向上を図ること。

2. アスリートの相談体制の充実、利活用の促進
各団体においては、アスリートからの相談窓口等の整備やスポーツ仲
裁自動応諾条項の採択に努めるとともに、関係機関の相談窓口等を含
め、所属するアスリートへの周知を図ること。また、当該窓口の運用に
当たっては、プライバシーの保護に留意するとともに、相談者や正当な
対応をした者等に不利益な取扱いが及ばないよう十分配慮すること。

3.問題事案に係る公正・迅速な調査と説明責任の履行
問題事案を把握した場合は、公正・迅速な事実関係の究明、再発防止
策の立案・実行にあたるとともに、必要に応じて関係者への厳正な対応
をとること。特に、重大な事案については、外部人材を交えた調査委員
会の設置等により公正性を確保し、社会的な説明責任を果たすこと。

4 .運動部活動の安全確保に向けた大学の取組の充実
大学にあっては、運動部活動(※)について、学生を規律する包括的
な管理・教育権限の範囲内において、安全確保等に係る応分の責任があ
ることを認識した上で、ガバナンスを発揮し、上記1~3を踏まえた適
切な対応をとること。また、大学の実状に応じて、適切な組織体制を整
備すること(例えば、運動部活動への関与の在り方の見直し、スポーツ・
アドミニストレーターの配置、スポーツ分野を統括する部局の設置等)。

※部活動は、学校の教育活動の一環として行われる課外活動として位置付けられる。

スポーツ庁においては、これらの取組を積極的に支援するため、大学スポー
ツに係る競技横断的統括組織の創設(準備委員会の発足は7 月目途)、公正性
を担保する調査の在り方の検討をはじめ、様々な施策を全力で推進していく決
意です。